『花様年華』の続編といっていい作品。
もっというと『欲望の翼』を含めて「60年代3部作」だそうで。
1967年の香港で『2046』という近未来小説を書く男の現在と、彼が小説で描くSFの世界が次第に交錯していく・・
レトロ香港に匂い立つ色男トニー・レオン。
彼を行き交う美女たち(チャン・ツィイー/フェイ・ウォン/カリーナ・ラウ/コン・リー)。
トニー演じるチャウを通して現実、小説、記憶と…次元があちこち飛ぶので混乱しがちだけど、ただ一つの事を把握してればすごくシンプル。
それこそが『花様〜』で彼が体験した身を焦がす恋。スーへの消えぬ思い。
本作のチャウは掌返しのドンファンぶり。
特にチャン・ツィイーとのベッドシーンはものすごーく絵になってた!
彼女の小悪魔っぽさがまた魅力的で。
女たらしというか…モテるんだから仕方ない、と思わせるトニーの魔力が素晴らしい。
チャウを投影したキムタクがフェイ・ウォン扮するアンドロイドに恋する設定も切なくて虚しくてすごくよかった。(演技は可もなく不可もなくw)
「誰にも知られたくない秘密を穴に閉じ込める」
という、何度も植え付けられる例のくだり。
そして
「彼は振り返らなかった。長い列車に乗り、深い闇の中を、ぼんやりした未来に向かって走るように…」
過去への憧憬、破綻の美学。
官能的なシーンが多いけど、実はとてもとても内省的な作品だと感じた。
サイバーパンクな景色に漢字のクレジットも見事にアーティスティック!
〈鑑賞したウォン・カーウァイ監督作品の個人的ランキング〉
1.『花様年華』
2.『欲望の翼』
3.『2046』
4.『ブエノスアイレス』
5.『恋する惑星』
6.『天使の涙』
製作総指揮の『プアン/友だちと呼ばせて』もかなり好き♡