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MR.デスティニーの一人旅のレビュー・感想・評価

MR.デスティニー(1990年製作の映画)
5.0
ジェームズ・オア監督作。

故ジョン・ベルーシの弟:ジェームズ・ベルーシが主演を務めたファンタジーコメディの隠れた名作で、日本では未DVD化ですが、有料配信で視聴することができます。

20年前の高校野球州大会決勝戦で空振り三振してチームを敗北させてしまったことを引きずり続けている平凡なサラリーマンの主人公:ラリーが、不運続きな35歳の誕生日に寄った見知らぬバーでバーテンダーから提供された特製カクテルを口にしたところ、主人公の人生が20年前のあの試合で逆転ホームランを放ったパターンの“別の人生”に変化していて―というファンタジーコメディとなっています。

今の人生に不満を抱いていた主人公が自分が望んでいた別の人生を体験するという不思議な感覚のコメディです。家族も自宅も職場での地位もそれまでとは全く異なる人生に始めは戸惑いつつも徐々に順応していく主人公ですが、全てが理想通りに見えた別の人生にある意外な落とし穴に気づいていきます。元の人生で妻だった女性が別の男性と結婚していたり、幼少期からの無二の親友が傍にいなかったり…と失って初めて気づく“大切な存在”への思いが主人公の胸の内で溢れんばかりに膨らんでいきます。

キャプラの古典『素晴らしき哉、人生!』(46)をはじめ、『クリスマス・キャロル』(70)、『3人のゴースト』(88)、『恋はデジャ・ブ』(93)、『愛が微笑む時』(93)、『天使のくれた時間』(00)、『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』(13)のように、ユニークなシチュエーションのファンタジーの中に“人生&愛の確かな本質”をユーモラス&ハートフルに浮かび上がらせた90年代ファンタジーコメディの名篇で、主演のジェームズ・ベルーシが平凡な人生をやがて肯定していく主人公を好演していますし、ヒロイン役のリンダ・ハミルトン、準ヒロイン役のレネ・ルッソ、狂言回し的なバーテンダー役のマイケル・ケインら脇を固める豪華俳優陣の競演も見所となっています。
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