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此の糸のtetsuのレビュー・感想・評価

此の糸(2005年製作の映画)
3.0
作品登録に合わせ、過去の鑑賞メモを一部修正して転載。

男と男と女、奇妙な三角関係と一方通行の片思い。誕生日に仮病を使う男のもとに、とある男女がやって来たことで起きる関係性の変化を描く。

今泉力哉監督が主演も務めている初期作品。

映像面のクオリティは低いものの、この時点から「報われない片思いが巻き起こす喜劇」を描いていて、興味深かった。

主人公の自宅に集まった3人が順番にトイレに行く場面では、それぞれで1対1の会話が行われることになり、三角関係が浮き彫りになる流れが面白かった。

また、主人公と友人の関係性における描写には、のちに手掛ける『his』へと繋がる要素もあったりする。

ロケ地が『透明なシャッター』(学生時代の監督による短編作品)と同じく、"Movie-High"(NCW=ニュー・シネマ・ワークショップの実習生やOBの作品をお披露目する映画祭のこと。初期の作品はDVD化もされている。)で上映された『チェリーハイツ』のアパートと似てるなぁ~と思ったら、その監督が製作に協力していて、やっぱりなと思った。

その他、バッティングの打撃音に合わせて切り替わるオープニングクレジット、主人公を招き入れた友人が彼らの2ショット写真を見えないように隠すシーン、クレジット後に登場するボウリングシーンで3人を示唆するようにボウリングのピンを配置するなど、演出面での工夫がみられ、初期作ながらも監督のこだわりが伺い知れる一作だった。
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