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アリスの一人旅のレビュー・感想・評価

アリス(1990年製作の映画)
4.0
ウディ・アレン監督作。

NY派の巨匠:ウディ・アレン41本目のレビューは、1990年制作の『アリス』。アレン監督のパートナーであったミア・ファローがヒロインのセレブ妻を好演しています。

富豪の夫と贅沢な暮らしをしながらも心にどこか虚しさを抱えている上流階級のヒロインが、子どもの送り迎えで知り合った離婚歴のある独身男性と次第に惹かれ合っていく様子とその後を、東洋人の漢方医から貰ったハーブがもたらす不思議な現象をエッセンスに映し出したアレン流“女性ドラマ”となっています。

ハーブを服用すると体が透明化したり、死んだ恋人の幽霊が現れたり、初対面の男性が自分を好きになったりとファンタジックでユニークな映像演出が目を引く作品ですが、そうしたハーブによる不思議な体験を経て、男性に依存あるいは翻弄されてきたヒロインが自らの意志をもって精神的な自立の道を歩み始めていくまでの過程を描いた芯のあるドラマとなっています。

主演のミア・ファローが憂いを含んだ表情で悩めるヒロインを繊細に演じていて、その好対照として、ラストカットで見せる素朴で屈託のない笑顔がひと際輝いています。
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