たけちゃん

フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)のたけちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
フランケンシュタインも人間です!
~高島忠夫さんに捧ぐ~

本多猪四郎監督 1965年製作
特技監督 円谷英二、音楽 伊福部昭
主演ニック・アダムス、高島忠夫


緊急企画!
勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
去る6月26日に東宝特撮プリンス(笑)の高島忠夫さんが88歳で亡くなったという知らせを聞いて、追悼レビューを上げることにしました!
奇しくもレビュー数は797(ナクナ)本!


【高島忠夫さん】
1930年7月27日神戸の生まれ。
1951年に新東宝スターレットの1期生として芸能界デビューしました。
1963年に女優の寿美花代と結婚、翌1964年に長男を授けるが、この子は高島家の家政婦の手により殺害されるという痛ましい事件が起こっているんです。
今の息子、高嶋政宏、高嶋政伸は、実は次男と三男なんです。


東宝特撮映画の出演としては
「キングコング対ゴジラ」
「海底軍艦」
「ゴジラの息子」
「ゴジラVSメカゴジラ」
なんかがあるんですが、その中で今日は「フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)」を取り上げます!
僕が観たのはタコのでないオリジナル版。



これは中々の異色作。
なんとナチのマッドサイエンティストが死なない兵士を作る研究を行っていたが、連合軍のドイツ侵攻に伴い、その研究サンプルを日本へ送ることに。

潜水艦で日本に極秘理に輸送され広島の研究所へ。
なんと、それが「フランケンシュタインの心臓」
戦争において死なない兵士を作るというのは、もう、これは「スーパーソルジャー計画」じゃないですか!
キャップって、フランケンシュタインだったのか……。

そして、その心臓が広島の原爆投下により被爆し、より強大な存在へと変貌。このあたりは「ゴジラ」ともテーマを同じくしていて、さすがです。

ただ、ゴジラと違うのは、怪物に変貌したフランケンシュタインが人の心を失わなかったところです。ここがフランケンシュタインを持ってきた理由にもなっていて、素晴らしい脚本だなと思いましたよ。




さて、映画です。
今作はとても良いですよねぇ。

オープニングはティム・バートン作品をさらにおどろおどろしく描いたかのような研究室器具の接写。
また、ウルトラQを彷彿する音楽の効果も素晴らしい。
いわゆる怪奇映画のようなテイストですね。
そこに怪獣映画のストーリーを加えて、とても見応えがありますね。

また、冒頭の連合軍のドイツ侵攻場面やUボートの水中シーンなどの特撮もとても良いんです。このまま、戦争映画を撮っても良かったのになぁ。


「フランケンシュタイン」の名前はあるけれど、かのメアリー・シェリーによる名作「フランケンシュタイン」とは全く関係がありません(-_-;)
まぁ、全くないとは言えないか。
知識として、フランケンシュタインについては、みんな知っているらしいので。


地底怪獣ことバラゴンは、今作が初登場。
あの「ゴジラ モスラ キングギドラ大怪獣総攻撃」で、三大怪獣の一頭なのにタイトルから名前を省かれた悲しいヤツ。あの時は護国聖獣だったのにねぇ……。
今作では鳴き声が完全にゴジラでした(笑)



ラスト、火の七日間のように真っ赤に燃え盛る炎の前での死闘は素晴らしいですよ。未見の方はぜひご鑑賞を!

高島忠夫さんのご冥福をお祈りします。