great兄やん

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 4K リマスター版のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

4.3
【一言で言うと】
「亡骸を貪る者」

[あらすじ]
墓参りにやってきたジョニーとバーバラの兄妹に突如死体が襲いかかり、ジョニーが殺害される。バーバラは逃げ込んだ民家で、そこに潜んでいた人たちと遭遇。ゾンビの群れが民家を囲む中、黒人青年のベンが脱出を試みようとする一方、娘がけがをしているクーパー夫妻の夫は地下室で避難を続けようとする...。

『百花』のハシゴとして鑑賞。

あらゆるゾンビ映画の“原点”かつ“始祖”として君臨している今作。何気に初めて観る上に4Kリマスターされた美しい画質をスクリーンで観れるという贅沢さ...にしても今作がもし存在してなかったらあらゆるゾンビ映画が作られてなかったと思うと、今作における功績はメチャクチャどデカいものですよね(・・;)...

とにかく従来のゾンビ映画における“迫力”は全くもって皆無なのですが、それでもじっとりと恐怖が忍び寄ってくるドキドキ感というのが本当にハンパない。
近年定着化された走るゾンビもメチャクチャ怖くてそれはそれで良いんですけど、やはりゾンビはこうノロノロ歩くに限るな…と観ていて感じましたね🤔

それにゾンビに襲われる恐怖がメイン…かと思いきや、逃げ込んだ一軒家で繰り広げられる人間模様が大方の展開を占めるので途中ダレる瞬間はあるものの、危機的状況下における人間の本質を炙り出す描写というのがかなり克明かつリアルに描かれており、そういった点では興味深く観ることができました。

にしてもこの頃はまだ”頭を撃てば即死する“だとか”ゾンビ“の単語が一切出てこなかったりだとか、ゾンビの生態がこの当時ベールに包まれているからこそ体感する”恐怖“というのが本当に凄まじかったんだろうな…😰
まぁ目の肥えた自分が観るとどこか迫力に欠けるところがあるんですけど(ー ー;)...これ当時劇場で観た人は本当に生きた心地がしなかったのでは…って思いましたね(゚o゚;;...

とにかく鈍足で忍び寄る得体の知れぬ“恐怖”に、人間の本性の恐ろしさと共にあらゆるホラー映画における“源流”を感じさせる一本でした。

正直一本の映画として観るとかなり冗長で退屈に感じてしまうのも無理はないが、ここから様々なホラー、特にゾンビ映画における“基礎”が定着されたと思うとなんだか感慨深いですし、ジョージ・A・ロメロが何故“ゾンビ映画の帝王”と呼ばれるのか、その所以というのも激しく頷ける。

制作側の意図はないにしろ、現代における社会的メッセージやメタファーも痛烈に詰め込まれている今作。

ラストの衝撃的なオチといい、本当に怖いのはゾンビよりも“人間”の方かもしれませんね...