脚本の手腕が光る、時間ループ作品。
このアイデアを実際に撮るのはシンドイだろうと思います。芝居で何度も一緒に演じてきたキャスト陣だからこそ挑めた、ヨーロッパ企画の集大成のひとつと感じました。恐ろしく無駄のない面白さ。
これだけの登場人物を、ただでさえテクニックに走りがちなループにおいて、まるで衛星を打ち上げるかのように緻密に計算された軌道のようなストーリー運びで魅せてくれます。そして嘘をつくのが上手い。大胆な強引さも上手い。肝心なのは、それが「面白い」のために設計されているのです。
「これは簡単そうに見えて、激ムズ」と思ったポイントは音効です。ポイントポイントのアクションに音がついてるのですが、やりすぎるとバラエティ感が出過ぎますし、リアルに振ると特撮感が出るのではないかと思います。そこが、とても心地よく楽しめるトーンにMixされています。ものすごく楽しめました。
すっかり京都界隈の役者さんになった本上まなみさんと、ニューカマー近藤芳正さんも良いです。
近藤芳正さんが物書きっていう役なのも、昔の作品を重ねてしまいます。
それにしても、ネタバレせずに書くのは難しいです。これで冬に貴船を訪れる人も増えると良いですね。夏に公開される、真冬の作品でした。きっとそのうち、ネタバレできそうなタイミングが来たら、追記したいと思います。オススメです。