ドント

哭悲/The Sadnessのドントのレビュー・感想・評価

哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)
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 2021年。台湾からこんにちは! 感染狂暴化系血みどろ虐殺まつり。ちょっとした風邪くらいのはずだった感染症が突然変異、人間の理性が壊れて食欲、性欲、暴虐欲が暴走するどえらい症状を呈する病と化して大変なことになる中、若いカップルの運命はいかに……!
 何と言うか、期待と想像よりもだいぶおとなしい映画に思えた(※個人の感想です)。観たいモノはある程度観せてくれるし、血とか内臓とかいっぱい出るし、人が狂ってワーする様子は楽しめる。いかにもアジアの綺麗な顔つきといった主人公カップルと例のオッサンをはじめとして、印象的な顔つきの役者が揃えてあり、ミニマムながらも味わい深い雰囲気を作り出せている。
 一方で気になる所も。感染や発症のルールがゆるいのは「人が死んだり……酷い目に遭うのを見せたいんで……」という思いが先にあるからだろうけど、せやったら風刺シーンはそんなには長く要らないのではないかと感じる。というかやるんだったらボーン!の瞬間までちゃんと見せるべきではないか。祭りなので。
 暴力シーンで盛り上がるのが路上~お店~『バーニング』してくるお隣さん~地下鉄くらいまでで、あとがどうにも「後夜祭」みたいになっていて、まぁ例のオッサンの所業とか見所はあるにせよ尻すぼみになっていく。どうにもこう、綺麗に話を終わらせたい窮屈さが……
 病院奥でのシーンとかもっと「わぁ……」とできると思うんです。微妙にクリティカルに残忍な瞬間を避けてる気がしてちと惜しい。例のマシンがどこをどうしてるのか、とか……観たいでしょ? 観たくない? そう……
 よい意味で小さくまとまったウワーッ、グワーッ、ギェーッな映画を目指したのであろうし、ある程度その目的は達成されているので、思い切ってもっと刈り込んで90分以下にして、物理的にももっと人体を刈り込んでいってほしかったと思う。例えば彼氏が二手目で大ケガしてるあたりとか、ああいう慈悲のなさが欲しかったね。メニューの写真はコッテリだけど、意外にあっさり目のラーメンですね、といった映画だった(※個人の感想です)
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