旅するランナー

島守の塔の旅するランナーのレビュー・感想・評価

島守の塔(2022年製作の映画)
4.3
【萩原聖人・五十嵐匠監督舞台挨拶付上映】

沖縄戦が真正面から描かれます。
民間人を巻き込む容赦なき戦争。
尊い命を失っていく人々に心震えます。

沖縄県知事島田叡(萩原聖人)と沖縄県警警察部長荒井退造(村上淳)の視点から、当時の映像を交えて、この惨たらしい戦争を見ていきます。
島田氏が兵庫県神戸市、荒井氏が栃木県宇都宮市出身です。
そういうこともあり、沖縄、兵庫、栃木で舞台挨拶されてます。

ベースボールで繋がり、県民のためにベストを尽くす、ふたりのフェアプレイに頭が下がります。
島田氏の座右の銘「断而敢行鬼神避之(断じて敢行すれば鬼神も之を避く)」を実践しています。
残念ながら、神風は吹かず、米軍はやってきます。
沖縄の踊りカチャーシーの意味「喜びも悲しみもかき混ぜてみんなで分かち合う」が、あまりに切ない。

出演者の中でもう一人忘れてはいけないのが、吉岡里帆さんです。
舞台挨拶に立たれたお二人も、神がかった演技と言われていましたが、鬼神のごとき熱演です。
女優としての幅の広さと、女性としての芯の強さを感じました。
日本アカデミー賞助演女優賞取れるかもしれません。

「島田知事も本当は出身地神戸に帰りたかったに違いなく、替わりにここに帰ってこれてよかった」
舞台挨拶での萩原聖人さんの言葉が印象的です。
日本が行った戦争を忘れないためにも、多くの人に見て頂きたい映画です。