【悪妻と呼ばないで】
ロシア政府に睨まれ亡命した監督が、百年前も今も、ロシアは大して変わってないよ…と言外で伝えたいらしい伝記映画。チャイコ妻アントニーナの人物像は推測だろうが、本作ではうまく嵌った気がする。
長期片思いから結婚、疎まれ別居しても断固、離婚拒否…。アントニーナがなぜ拘り続け、“愛している”と言い続けたか?当時は他の選択は死をも意味した…かもだが、映画ではサジェスチョンとしているね。
が、性差別は明確に描かれて、本作の背骨とさえ思う。チャイコさんがゲイだった説に準じ、アントニーナもそこから翻弄されてゆく。
当時、同性愛が法的にどうだったかは知らないが…何と、現在のロシアでは違法だそうな!? だから、プーチン政府はチャイコ=ゲイとは認めていないとか…国にとって“不名誉”らしいから。
本作では、ゲイ・コミュニティ内の結束が強靭な一方、女性に対しては、真綿に包むようだがミソジニーあり、と感じた。終盤で“ロシアちんこまつり”が盛大に開催されるとは思わなかったがwww …アレも、女性を対等な人扱いしないからこそ、できた行為だとおもう。
この、ゲイ・グループ対チャイコ妻…という構図が本作で一番、興味を惹かれた。ロシアの空はずっと曇っており、“虹”なんて出る気配もない…。
展開としては、チャイコが妻に断固NO!と宣言して夫婦物語が止まると、妻の独りネガループが延々続くことになり…飽きる。ループは半分くらいで以下同!と宣言して、映画自体を止めてほしかったなあ。
チャイコ妻を演じるアリョーナ・ミハイロワさんは、可愛らしいが、目元が狐系に尖っており、つい、ブラッド・ドゥーリフの顔を思い出す。でもイロイロ晒したり握ったり…若いながらも生々しく熱演!
本作、ロシアでは今も上映されていないそうだ。まぁそうだろうけど…とりあえず戦争は止めとくれ。
<2024.9.12記>