おふとん

CUBEのおふとんのレビュー・感想・評価

CUBE(1997年製作の映画)
3.7
日本版リメイクも話題が今、あえてオリジナルの作品をレビューしようという試みです。

「CUBE」と言えば、男女が閉ざされた空間に閉じ込められ脱出劇や心理サスペンスを繰り広げるいわゆるソリッドシチュエーションスリラーと呼ばれるジャンルの先駆け的カナダ映画。
「ソウ」シリーズとか、最近だと「プラットフォーム」もこの系譜ですね。
日本だと「インシテミル」とかデスゲーム系もこの派生ではあるかなと思います。

男女が目覚めると謎の立方体の中にいて、扉をあけるとその先もまた立方体。脱出を試みようとするが、部屋によって即死級のトラップが仕掛けられており…。
いったい誰が何のために彼らを閉じ込めたのか、なぜトラップがある部屋とない部屋があるのか、外の世界はどうなってるのか、といった疑問が常に頭の上に浮かびながら、ひたすら脱出劇に終始するという、ワンアイデア一点突破もののかなりシンプルなストーリー構成が、当時は斬新でありウケたようです。

さすがに今見返すと特殊効果がかなりちゃっちいんですが、90年代特有の薄暗さや社会の閉塞感というものが感じられて個人的には好きな作品。

徹底して外の世界や黒幕の存在を描かず、キューブ内の閉鎖的な環境のみを描き、徐々に狂っていく登場人物たちの心理描写なんかも上手い作品です。
スリラーとしても、今でこそ意外な人物が生き残ったり逆に犠牲になったりして独自性を持たせるのはお話作りの定席みたいになってますが、当時としては誰が生き残るかわからないハラハラ感がありストーリーも先が読めず面白い。

キューブ自体が、誰が何のために作ったのかよくわからない、実は目的自体はとうに失われて意味などないかもしれない、外の世界も本当に存在しているのかもわからない、というメタファー的、社会風刺的ないくらでも考察の余地がある、単なるスリラー映画では無い点も魅力の1つ。
キューブの謎、そのものは大して重要ではないんですよね。
なので、それらに焦点を当てた続編があまり面白くないのも頷けるところ。

派生作品は色々あるけど、やっぱりオリジナルが1番面白い気がするなぁ。
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