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読んで懐かしく。
六本木。98年。
六本木ヒルズが出来る５年前ですよ。
ファミリー層なんていません。
まぁ、やんちゃな街の印象です。
当時会社が六本木にあって、
今の六本木ヒルズの例のクモのオブジェ
あたりにあったビルでして。
この作品、六本木にあったミニシアターで
会社帰りにふらっと観に行きました。
映画の（SAW）が公開される6年前。
複数の男と女が目覚めると、見知らぬ
部屋に閉じ込められていることに
気付きます。その部屋も、（SAW）とか
乙一の（SEVEN ROOMS）のように
小汚い狭い部屋でもない。
暗く、死体が転がってる訳でも、
異常者からメッセージが流れる訳でもなく。
どこか近未来的な部屋で、広く、
清潔感のある、何も置いていない部屋。
部屋の前方上下左右には出入り口にらしき
ハッチがある。何の説明もないから、
登場人物たちは移動を開始してみる。
そして希望があるのかないのか
わからないまま、外へ脱出を試みる。
もうね、六本木ヒルズ以前の六本木。
いろんな人種が闊歩する六本木ですよ。
よくわからない人がいっぱいいるんですよ。
街自体がどこか非現実的で、
何でも起こりそうで、何でも出てきそうな
街。そんな街のミニシアターでこの作品を
観る。（SAW）の6年前。もう街そのもの
から、映画の迷宮の始まりのようで。
この衝撃は、この経験は、説明が難しい。
ただ、何かの、始まりを観たのは
確かだと思う。それがあの頃のあの場所
だったからこそ、この作品を
忘れられないものにしていると思う。
