桐灰

EO イーオーの桐灰のレビュー・感想・評価

EO イーオー(2022年製作の映画)
4.0
EOの瞳に映る世界と、俺たちの観ている世界はどう違うのだろう。ただ生まれて、ただ死んでいく。どんな生物にも等しく訪れる運命も、そこに人間が介在した時点で大きく狂わされてしまう。人も自然の一部、成り行きだなんてとても言えない。EOに降りかかる困難は、常に人間の身勝手さと裏腹だ。
だがしかし、理不尽に振り回されるEOの姿が、段々とこの社会に生きる俺たちと重なっても見えてくる。境遇を呪い、違う場所に、違う姿で産まれていたら、、なんて無い物ねだりした所で、結局は人間社会という大きな濁流の渦の中。だとしても、誰と出逢い、何を望み、何処へ向かうか。
苦しくて後ろめたい気持ちで見守り続けた長い旅路。愛し愛され失ったところからはじまったけれど、最後までEOの心に残り続けていたもの、それこそが俺たちにとっての希望なのかも知れない。
桐灰

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