パク・チャヌクの映画にしてはエグさは控えめで全体的にサスペンスタッチ。分かりやすいほどのヒッチコック「裏窓」「めまい」をオマージュした手法で、一線を超えてはならない男女の関係が錯綜する。謎めいた心理の女は海のように深く、霧の中にいるかのように掴めない存在で、どこかで渇望しているかに思える佇まい。このテーマ性で岩礁のロケーションも出てきたりするからなんとなく昼ドラっぽい感じで、このテイストに既視感もあった。じわじわと侵食し、立場すらも超えて崩壊する男の脆さがどことなく儚いし、非常に矛盾する人間性がそこから滲み出てもいる。