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逆転のトライアングルのumiのレビュー・感想・評価

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)
4.0
【この転覆劇、あなたは笑えるか⁈】

『フレンチアルプスで起きたこと』のリューベン・オストルンド監督最新作。

SNSのフォロワー数を増やすことしか考えていないインフルエンサーやイケメンモデル、世界の金持ちを乗せた豪華客船が無人島に漂着。そこで頂点に君臨したのは、サバイバル能力が高い船のトイレ清掃員だった…。

"人は皆平等"と言いながら結局は金を持つ者が持たざる者を使い倒して成り立っている社会。金持ちはそれが当然であると考え、庶民である船のクルーたちも"お客様は神様"の精神でイエスマンに成り下がる。

そんな彼らが無人島に流れ着き、初めて本当の意味での"平等"な状況に置かれる。大金も美貌も、ここではなんの意味も持たない。タイトルを鮮やかに回収していく展開が見事。まさに逆転のヒエラルキー。

男性モデルたちがH&Mとバレンシアガでキメ顔を対比させてみせる冒頭から、とにかく全編シニカル&ブラックユーモアが満載で、147分もあるのに全く飽きず。

『フレンチアルプス〜』もそうだけど、人間の腹黒さや醜さ、滑稽さをこれでもかと突きつけてくるこの監督の作風が大好き。人間てアホよな〜と思う一方で、だからこそ愛しくも思えてくる。ウディ・ハレルソンの十八番とも言える狂った船長役も最高。

善人ばかりなお涙頂戴映画に飽き飽きしてる人にぜひオススメしたい一作です。
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