裕福な人々を乗せた豪華客船が沈没し無人島に漂流した人々、しかしそこではお金や名誉、地位などは価値がなく、人として生き抜く力を持つものが頂点にたつ人間関係が崩壊されるが・・・というお話。
前半の裕福な人々の傍若無人ぶりと後半の優位に立ったものの傍若無人ぶりの対比を通して人の愚かさを描いている皮肉に満ちた映画、荒波に酔って吐いてしまうシーンもそうだけど全体的にブラックユーモアに満ちた作品、それでいてこの作品の真価はラストシーンだと思う、殺意をもった人間の鬼気迫る顔、目がぎらつき顔の皺が深くまさに鬼の形相なんだけどそこはまるで黒澤明の映画を見ているような錯覚に陥るほど絶妙なカットだと思う、観ている人にとって選択肢が二つある結末も面白い。
映画.com参照
「フレンチアルプスで起きたこと」「ザ・スクエア 思いやりの聖域」など、人間に対する鋭い観察眼とブラックユーモアにあふれた作品で高い評価を受けてきたスウェーデンの鬼才リューベン・オストルンドが、ファッション業界とルッキズム、そして現代における階級社会をテーマに描き、2022年・第75回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した人間ドラマ。第95回アカデミー賞でも作品、監督、脚本の3部門にノミネートされた。
モデルでインフルエンサーとしても注目を集めているヤヤと、人気が落ち目のモデルのカール。美男美女カップルの2人は、招待を受けて豪華客船クルーズの旅に出る。船内ではリッチでクセモノだらけな乗客がバケーションを満喫し、高額チップのためならどんな望みでもかなえる客室乗務員が笑顔を振りまいている。しかし、ある夜に船が難破し、海賊に襲われ、一行は無人島に流れ着く。食べ物も水もSNSもない極限状態のなか、人々のあいだには生き残りをかけた弱肉強食のヒエラルキーが生まれる。そしてその頂点に君臨したのは、サバイバル能力抜群な船のトイレ清掃係だった。
オストルンド監督は本作で、前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続いてパルムドールを受賞し、史上3人目となる2作品連続のパルムドール受賞という快挙を成し遂げた。ヤヤ役は、2020年8月に32歳の若さで亡くなり、本作が遺作となったチャールビ・ディーン。カール役は「キングスマン ファースト・エージェント」のハリス・ディキンソン。そのほか、フィリピンのベテラン俳優ドリー・デ・レオンや、「スリー・ビルボード」「ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ」のウッディ・ハレルソンが共演。
2022年製作/147分/G/スウェーデン
原題:Triangle of Sadness
配給:ギャガ
劇場公開日:2023年2月23日