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アルマゲドン・タイム ある日々の肖像のsonozyのレビュー・感想・評価

3.0
ジェームズ・グレイ監督の半自伝的作品。1980年のニューヨーク、公立学校に通う12歳の少年ポールの物語。

ポールの自称・大金持ちの(実はそこまでではない)ユダヤ系のグラフ家。PTAで活動する母エスター(アン・ハサウェイ)、キレると怖い父アーヴィング(ジェレミー・ストロング)、別の私立学校に通う兄テッド、そして大好きなグランパ・アーロン(アンソニー・ホプキンス)やグランマと暮らすポール。

将来は芸術家になると決めているポール(バンクス・レペタ)は授業中も絵を描いていて勉強には興味持てず。同じクラスで反抗的な黒人少年ジョニーと共に問題児として担任に目を付けられている。
恵まれた家庭環境のポールと、祖母と二人暮らしの貧困環境のジョニー、そんな二人は友情を育んでいくのだが・・

タイトルの『アルマゲドン・タイム(アルマゲドンの時代)』は、当時大統領に就任したロナルド・レーガンが良く口にしていて(作中にも出てきます)監督のトラウマとなっていたという「Armageddon アルマゲドン(ハルマゲドン 世界最終戦争)」であり、作中でも使われるThe Clashの楽曲名「Armagideon Time(※何故かArmageddonと綴りが違う)」から。

芸術家志望を理解してくれない両親(特にキレると暴力を振るう父)が嫌で、唯一の理解者で指南役(事あるごとにユダヤ人の迫害についても教える)のグランパと、黒人であることで差別を受けるジョニーが心の支えとなるポール。

どこまで監督の実体験が反映されているのか分かりませんが、色々やらかしちゃうポールの言動を見るに、もしかすると適応障害的な要素もあったんでしょうか?

ポールが主犯のあの事件が実際にああいう形で解決出来たとしたら幸運としか言いようがないのと、警察に残されたジョニーに「またね」とか声かけちゃう、ある意味の残酷さ・無自覚さに観る側は苛立ちも感じますが、そんなことも含め、自身の過去をさらけ出してみました的な作品でしょうか。

キャストの演技は良かったものの、ラストの父の会話とエンディング含めモヤる読後感でした。
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