ピートロ

CLOSE/クロースのピートロのレビュー・感想・評価

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)
4.1
美麗な映像とわかりやすい演出と展開。
難解だったり斜に構えていたりする作品ばかりだと疲れてしまうのでこういう作品はホッとする。
とはいえ内容は苦しく切ない。
タイトルは「close friendship」から。

他のユーザーの感想・評価

軽率

軽率の感想・評価

4.2

このレビューはネタバレを含みます

「永遠を壊したのは、僕。」キャッチフレーズが秀逸だった。花が咲き誇る夏を駆け回り、ぴったり寄り添って過ごしていたレオとレミ。いつだって相手の顔を見つめるのはレオだったのに。少しずつ、そしてあまりにも急速に始まったズレが悲しい。
レオが、レミが、あるいは家族が何を考えているか、言葉に出されることはほぼない。世界に存在するのは二人だけみたいに夏休みを過ごした彼らが、中学校に上がる。マッチョな趣味、スポーツの話。友達ができないわけじゃないけど、休み時間は輪の周辺で頼りな気に笑ったレオが、いつの間にか周りに馴染んでサッカーをする。レミを残して季節が変わる。ただ鍵が壊れている、ただ雨が降る、ただ犬の鳴き声が聞こえない。そういう事実を提示し、静かにレオの表情を追いかけるカメラ。控えめなトーンなのに、そこから汲み取れる感情があまりに多くて、結構最初の方…それこそ初めの喧嘩?つかみ合い?くらいから泣いてしまった。号泣というよりは、すぅっと流れて止まらない。そんな涙。
スキンシップが多いご家族だと最初ちょっと思ったけど、その距離感がレオにもレミにも普通だった。眠れないレミを落ち着かせるのもビッグスプーン側なのもレオだった。レミは芸術家肌で少し繊細なところがあって、レオはお兄ちゃんがいたから(寂しくなって兄のベッドに忍び込んだシーンから考えても)レオはレミに対しての責任感というか、対等だけど兄貴分みたいな心があったのかな、と思う。それなのに、やんわりと突き放し、彼の心の傷から目を逸らした。薄っぺらくて細いあの体が、責任感と罪悪感で押しつぶされそうになっていたかと思うと心が苦しい。骨折して泣くのも、そういうことかな。ひっそり泣くことはあっても、あんな風に泣くのはあのシーンだけで、積もり積もったものがパチンと弾けた。直接言葉にはしない、激しい感情を表したりもしない。花畑で始まって花畑で終わる美しさと、そこに喪失の痛みと成長を織り交ぜる、そういう感覚の映画。

レオがレミを見つめた、その同じ目でスクリーンのこちらを見つめる。時々、目が合ったように感じてしまってどきりとする。彼の目にはなんかそういう、無言の圧がある。将来有望だなぁと思う。優し気な雰囲気のレミの子も。
michi

michiの感想・評価

4.0
レミがレオに「僕もホッケーしようかな」って言うシーンが忘れられない。言われる煩わしさも言ってしまう必死さも少しずつ知っている。
kako

kakoの感想・評価

4.5
美しくて、切なくて、どうにもできない苦しさに私は耐えられなかった。

12歳が生きてる世界なんて本当に狭くて。だけどそんなことに当時は気付けなくて。自分が見ている世界だけが全てだと思ってて。他人からの視線がどうやっても気になって仕方なくて。

それに、自分が小学生、中学生の時のことを思い出して、苦しくなった。無意識に傷つけてしまっていたんだろうなっていうのが想像つくから。
今はもう疎遠になっているし、連絡先もSNSも知っている人はほとんどいないけれど、どうか何も残らずいい思い出だけ残っていて欲しいと思う。まあ、自分はいい思い出だけかと言われたらそうじゃないけれど。


レオが大人になったとき、自分で自分のことを許してあげられるような日が来ますように。
もぢを

もぢをの感想・評価

3.8
手持ち撮影による不安定で、儚く美しい世界。レミ役は本当に素晴らしかった。
もう少し展開があったら…と期待してしまった。
ebi69

ebi69の感想・評価

-
思春期のはなし。
素直になれないよね、そうしちゃうよね、うんうん、ってわかるよー。って気持ち。
自分の行動が思いがけない結果になってしまって辛い。
10代前半の頃は友達(学校)と家族が全てだったから、逃げ道がなかったし、今だけのことっていくら大人が言ってもわからないしな。
容姿を揶揄ったりもそうだけど、悪気なく言ってしまったことが誰かにとっては大きなトラウマになることってあるよね。
今は幼い頃から多様化とかダイバーシティとか考える時代だな。

怪物もそうだけど、こうゆう役をやった子供たちがどんな感じな大人になるのか追って行きたい。柳楽優弥とか安達祐実とか、影のある役を演じた子達。
Yu

Yuの感想・評価

3.8

このレビューはネタバレを含みます

“永遠を壊したのは、僕”
このキャッチフレーズが心に刺さる。

辛いなあ。2人だけの世界を生きる彼らは楽しそうで輝いていたけど、やはり同級生など別の世界を生きる人々との交流は免れない。周囲の目を気にしてしまう思春期の振る舞いも理解できる。純粋な2人の世界が壊れてしまう残酷さと訪れる喪失感、そこからの再生が大きなテーマ。レオにしか分からない悲しみや自責の念をどうやって消化させていくべきか。

映し出される人物も景色も全てが美しかったです。自らの足で走ったり、自転車で並走したり疾走感溢れる演出もとても好きです。
ピノコ

ピノコの感想・評価

3.8
予告で大体のストーリーがわかってしまったパターン。ほんと、やめて欲しい。

少年たちのキラキラ✨
思春期のモヤモヤ。
後半のドンヨリ感。

予告を見ないで観たかった😭
CharlieZG

CharlieZGの感想・評価

3.6
少年レオの思春期の苦しみを描いた成長譚。こうして人は大人になる・・・の極端な一例。

レオと全く同じ経験はないが、中学進学という新しいコミュニティの中で味わう自分と社会のズレに共鳴した。
それまで “良し” とされて来た事がまかり通らなくなり、自分自身も変に感じるようになり、周囲に対しての羞恥心が働き、心にもない行動を取ってしまった経験は私にもある。
大人への憧れや好奇心もあり童心からの決別が正しいと自らを律し新たな分野に向き合うのは自然な流れ。
誰もがそうやって社会への適合を図りながら成長するのだが、その過程で失うものへの想いが強ければ強いほど苦しみとなる。

映画ではそれをレミ少年という分かり易い形で表現しているが、過去失ったものに置き換えれば誰でも腑に落ちる物語だと思う。
涙を流すほどの感動はなかったが、10代の違和感への戸惑いを思い出した。

レオ役のエデン・ダンブリンくんはこれがデビューだそうだが、綺麗な顔立ち以上に微妙な表情など見事な演技だった。
良かった。


監督 ルーカス・ドン

キャスト
エデン・ダンブリン
グスタフ・ドゥ・ワエル
エミリー・ドゥケンヌ
レア・ドリュッケール
イゴール・ファン・デッセル
ケヴィン・ヤンセンス

このレビューはネタバレを含みます

自分が12歳のとき、家と学校と友達が全てだった。
もう少し大人になると世界ってもっと広くて、親友以上恋人未満の関係だって勿論あるだろうし、血の繋がりがなくても兄弟に、家族になれることが理由も無しに分かるようになった。
大人になると意外とみんな良くも悪くもそんなに周りに興味無いけど、多感な思春期だからこそ周りも本人も、感情とか関係に敏感で。
でも12歳のレミはレオが世界だったから、レオの拒絶やちょっとした感情の揺れ動きが世界の終わりだったんだろうなって凄くわかる。
レオはみんなより少し早く大人に近付いていた感もあった。
別で寝る寝ないの喧嘩のあと、食卓で声も出さずに泣くレミのところ苦しすぎて泣いた。
レオもレミも学校の友達も両親も誰も悪くないからこそ胸が痛む。

主演の2人、初演技らしいけど本当に素晴らしい!! これから色んな作品でみれるように願う💫
ゆい

ゆいの感想・評価

-

このレビューはネタバレを含みます

切なすぎて途中からずっと泣いてた😭何か感じ取ったレオがバスから降りれない時とか、食事の時の何気ない旅をしたいっていう話を聞いた時のレミパパの表情とか…全てに感情移入しすぎて苦しい🤦‍♀️色んなシーンの言葉の間とか表情に泣かされた…。
例え話でお前はひよこの中で1番輝いてる的な事をベットの上で話してたあの時間が素敵すぎたな🐥
周りの人達も優しいし、1番はお兄ちゃんが寄り添う様な感じでいてくれたからこれからレオは罪悪感は感じながらも進んで行けるかもしれないって救いがあったかな〜
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