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トリとロキタのMALPASOのレビュー・感想・評価

トリとロキタ(2022年製作の映画)
3.7
映画『トリとロキタ』

社会の問題に切り込む、ベルギーの名匠ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ兄弟。今回も傑作!

アフリカからベルギーにやって来た少年トリと少女ロキタの偽の姉弟。2人をめぐる過酷な現実。

ベルギーへの船で知り合い、本当の兄弟のような絆を結んだ2人。弟のようなトリを学校に行かせ、アフリカの家族に送金をするために働く少女ロキタ。ビザが出ないため正規の仕事ができず、2人はドラッグ・ビジネスに手を染める。
やるせなくて悲しい。

先日、ダルデンヌ兄弟から直接話を聞く事ができた。普段は優しい兄弟だけど、撮影現場では厳しいらしい。『サンドラの週末』では、70テイクも撮ったらしい。今作は17歳と12歳が主人公なので、優しかったみたい。

ヨーロッパの保護者のいない移民の子供たちの問題を告発する。ダルデンヌ兄弟作品は、弱者に寄り添う物語だけど、良かったねという作りにはならない。そして、主人公たちを苦しめる人間たちも、何かしら抗えない運命で悪事を働いているように見える。
性格も体格も違う2人の主人公。監督いわく力学で描いたとのこと。



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