ゆき

聖地には蜘蛛が巣を張るのゆきのレビュー・感想・評価

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)
3.9
狂信

神のみぞ知る、この町のその後。
女性ジャーナリストに焦点を当てつつも、信仰が生む歪みも影に潜ませながら終始不穏さを漂わせる118分。
実在の殺人鬼をモデルとしたこの物語は、町の男性の誰もが犯人である可能性があると言わんばかりに、信者の証である指輪がアップで強調される。凶器は皮肉にも女性たちが身を守るために身に着けるヒジャブ。
被害者は生業を理由に選ばれ、無残にも“処分”されていく。
一報で支援者たちが犯人を英雄として祭り上げていく展開。
ヒリヒリとしたストーリー展開もさることながら、過信に耽溺する人間の愚かさに震え上がった一作でした。
「子供がいる」と助けを乞う被害者のシーンが一番つらかった。
***
イラン第2の都市であり、聖地とされるマシュハド。娼婦だけが狙われる連続殺人事件が起きた。“スパイダー・キラー”と名付けられた犯人を追うべく、女性ジャーナリストは不穏な圧力と対峙していく。
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