KnightsofOdessa

ユハのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ユハ(1937年製作の映画)
3.0
[フィンランド、生を乗り越え死を迎える激流] 60点

フィンランドの伝説的映画監督ニルキ・タピオヴァーラの長編デビュー作。後にアキ・カウリスマキも『白い花びら』として映画化する、ユハニ・アホの同名小説の映画化作品。18世紀の東フィンランドで暮らす中年男ユハは、孤児だったマルヤを育てて結婚した。何もなさすぎる田舎生活やかなり年上のユハとの結婚生活はマルヤにとって退屈で、やって来たカレリア人の行商人シェメイッカに惚れ込んで駆け落ちする。しかし、彼は様々な場所で退屈してる若い女をあの手この手で口説き、実家に持ち帰っているかなりヤバイやつだった。前半のハイライトとも言える激流下りはカール・テオドア・ドライヤー『グロムダールの花嫁』に似た激しさがあって良い。後半になると時間感覚と距離感覚が良い感じにバグっていき、いきなりシェメイッカとマルヤの間に子供が産まれていたり、いきなりマルヤがシェメイッカのコミュニティを離れてユハ宅に帰宅していたり、普通に混乱する。距離感に関しては"(帰れる距離なのに)夏の間帰らずここにいた"する愛人1のセリフもあり、それならユハもすぐに回収しに来るだろとも思い云々。生き延びるための激流下りが死ぬための激流下りとして反復されるのラストだけグッと良くなるのがせめてもの救い。
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