踊る猫

インランド・エンパイアの踊る猫のレビュー・感想・評価

インランド・エンパイア(2006年製作の映画)
4.6
前作『マルホランド・ドライブ』でこれでもかと濃厚に描いた「女性たち」の持つセクシー/エロティックな側面がここでは更にどぎつく描かれている。あと注目すべきは登場人物とカメラの距離感だ。あまりにも接写し過ぎている……この対象との関係の「狂い」はそのままこの映画全体を貫く狂気/病理を表しているようにも感じられる。この映画はどのような解釈も許さない難解な作品だが、強いて言えば映画を作ることに「自己言及」した映画であり、あり得たかもしれない人生を夢想するパラレルワールドを描いた作品なのかもしれないし、最後の最後で銃が発射されるのは「オルター・エゴ」を殺したということなのかもしれない。難を言えばやはりシーンによってデジタルとアナログの画質の相違が際立ってしまうことか。そこから生まれるチグハグな印象もまた味と言えば味なのだけれど。
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