昔、遠い昔の記憶、真夏の日差しが眩しい名古屋の町で、何度も角を曲がってあったその喫茶店。
優しい店主が笑いかけてくれて、夏に来るたびに、きれいな水時計をくれたあの喫茶店。
あの時何故、祖母は怒っていたのだろう
店主が子どもの話をした時、なんで母は寂しそうな顔になったのだろう
いくつもの浮遊した疑問符を拾い集めて、ひとつ出た結論。
それは私にとっての大きな出来事でもあった。
たどり着いた喫茶店は、昔とは少し違う匂いがした。
店主もまたあのおじいさんではなかった。
遠い記憶をもっと、早く呼び戻していたら何か変わっていたのだろうか?
あの美味しいかき氷は、誰のものでもない、私とお母さんの、ほろ苦い愛の味。
もう大丈夫。そう言えるときが来たらまた、私の大切な家族を連れて行こう。