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ぜんぶ、ボクのせいのmmmのレビュー・感想・評価

ぜんぶ、ボクのせい(2022年製作の映画)
3.5
児童養護施設で暮らす少年が、偶然母親の居住地知り、
施設を抜け出すところから始まる話。

先に書きますが、親からの虐待やネグレスト、
いじめ問題などに敏感な方にはフラッシュバッグの
可能性があるのでご注意ください。

松本優作監督の長編デビュー作とのこと。
あらゆる社会問題が詰め込まれており、
閉塞感に包まれた時間でした。
必ずや答えがでるわけではないけど、
見終わった瞬間に残ったのは
主役の少年への理不尽さと、周囲の大人への憤り。

さて、これは(気持ちを)どう落としたらいいのやら…
といった感じ。




■■■■■■ここからネタバレあります■■■■■■
■■■■■■■■■ご注意ください■■■■■■■■

そして主観が強く入る文章となります。
ご了承を…

舞台挨拶で監督さんが(ラストの解釈のことかな?)
「自分でもそれがよくわからない」と話されていて、
ちょっと困惑してしまいましたが、
サイトに以下のような記述が。
「理不尽な目にあったり、うまくいかないことを
人のせいにしてしまいがち。
それを全部自分自身で受け入れた先に
本当の光があるんじゃないかと思う」(抜粋)

言わんとしていることは分からないでもないけど、
対象は子供、そしてこの状況。
これを子供に「ぜんぶ、ボクのせい」と言わせてしまうのは、
理不尽を超えてちょっと酷い。
はっきり言って、”ぜんぶ、大人のせい”です。
そりゃ、親ガチャなんて言葉もうまれるわなぁ…

自分では、希望となるようなイメージができなかったけど、
彼の先々に光があることを願うばかり。

坂本や詩織との出会いや交流が、優太にとって
今まで空っぽだった心を満たす…というか埋める
ものであったのは確かだけど、
ネグレストや暴力を受けるシーンなど、
先の展開の想像がついてしまうのが…

そして、あれこれさておき、迎えにきた
児童養護施設の職員が、逃げた彼を見失ったまま
放置になってしまっていることと、
最後の警察官の尋問、子供に対してあんなやり方するかな?…と。

創作物だから現実と違った部分があってもしょうがないのだけど
優太にいかに辛い思いをさせ、ぜんぶボクのせいと言わせるための
エピソードを並べた感じが苦手でした。

坂本さんの善人半分ダメさ半分とうさん臭さ
(川崎帰るの2万くらいかかるんじゃないには笑ってしまった)
オダギリさんが絶妙に演じるわけですが、
坂本と詩織のトラウマエピソードも少々雑な感じがしてしまった。

見てて気になったのは、これだけの内容を
白鳥くんが演じていて辛くならないだろうかとか、
そういうケアちゃんとできてるのかな?ということ。
舞台挨拶の話を聞く限りでは、いい現場だったようでなにより。

優太のあの目つきの鋭さは、かなりのインパクトだったので、
どこか違う作品で拝見できるのを楽しみしてます。


◆独り言
ハッピーエンドがすべてじゃないし
特に好きなわけでもないし
倫理だけで物語はできあがらないけど
誰かにとってのノンフィクション
(不条理とか理不尽な現実)を
フィクションで描くって
難しいですね。
mmm

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