てっちゃん

ジャバーウォッキー 4Kレストア版のてっちゃんのレビュー・感想・評価

3.9
あのモンティ・パイソンの、あのテリーギリアムさんの初監督作品。
そりゃ気になるってもんでしょ。
本作は1980年に日本国内で劇場公開され、ソフトはビデオのみで、なかなかお目にかかれない作品だったよう。
そんな作品が4Kリストア!で上映されると知ったら余計に行くしかないでしょ。

まずですね、世界観最高すぎない?ってことに、目を奪われてしまう。
とにかく汚い。ごちゃごちゃしている。建物傾いているし色々とぼろい。出てくる人物たちがまあ個性的というか変人ばかり。
よくもまあこのごった煮の世界観を初監督作品で既に表現できているなと感心してしまうし、やっぱりゆるいギャグの連発にはどうしても笑ってしまうし、”これが俺のやりたかったことだ!!”と画面から聞こえてくる感じが本当に好き。

さて物語は主人公デニスが樽職人である父親の死をきっかけに(ちなみにデニスは父親の後を継ごうなんて気は全くない)、とある王国に職を求めに行くと、王国を荒らしている怪獣退治にデニスが意図しないまま巻き込まれていく、、、みたいな話。
そこにデニスが恋している同じ村の娘であるグリゼルダとの淡い恋(というかデニスの一方的だけども、、からの展開好き)を盛り込み、前述した好きポイントを挟み込んでくるから、テリーギリアムさんの世界観が爆誕しているのだ。

本作の見所は、じゃかいもが愛しくて仕方がないところではないでしょうか。
じゃがいもが愛しい?どういうこと?ってお思いでしょうが、デニスのじゃがいもを追いかけていく姿に涙を流し、アツい思いになっていくことでしょう。
このじゃがいもはデニスとの旅を共にして、見るからに成長していきます。
時には離ればなれになったりもします。
果たしてデニスとじゃがいもは、旅の終焉を向かえるときどうなるのか!乞うご期待!って感じで、この2人だけで物語作れるんじゃないかレベル。

あとテリーギリアムさん自身が「人間の縮図だ」と言っている、城内にいる同情を得るため自ら片足を切断したおじさんも強烈。
ここまでしないと見向きもされないし、ここまでしないと己を見てもらえないし、ここまでしないと生きていくことができない。
物語終盤では、さらに、、、みたいな限りなく黒いジョークもあるんだから堪ったもんじゃない。

怪獣もかわいすぎたな。
気持ち悪いのは勿論なんだけど、怪獣もぼろぼろだし、胴体がぼてっとしていて、全体のバランスが悪いしで、とにかく最高だし、怪獣退治する騎士も最高(この騎士選抜試合のシーンは、先日観たロベールブレッソン監督さんの”湖のランスロ”に出てくるシーンにそっくり。しつこいくらい試合するところまでそっくり。)。
その騎士がデニスに指示?するところとか最高だし、あたふたふるデニスも最高。

ちなみに本作パンフは、ぱたぱた折りたたみ式のやつで裏返すと、、、超絶かっちょいいポスター仕様になっていて、スマホの待ち受けにしたろうかと本気で考えたくらい。
パンフの出来はまあまあって感じだったけど。

初監督作品で、既に自己のスタイルを確立させて後のカルト的作品を連発していく幕開けのような本作。
このような貴重な作品を上映してくれる(上映期間1週間!)いつものミニシアターに感謝しかありません!
てっちゃん

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