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こわれゆく世界の中でのkouのレビュー・感想・評価

こわれゆく世界の中で(2006年製作の映画)
3.0
《壊し、再建する》
「イングリッシュ・ペイシェント」「リプリー」などのアンソニー・ミンゲラ監督。アンソニー・ミンゲラ監督の作品はあまり見たことがないのだが、やはりストーリーの運び方や絵の撮り方が見事。登場人物の心理の揺れ動きを追っていく。

主人公のウィル(ジュード・ロウ)は恋人とその娘と暮らしている。しかし、その生活にもどこか閉塞感を感じ、彼は別の場所に居場所を構築していこうとする。今作では、壊す、そしてまた再建していくということが何度か描かれる。主人公自身の仕事も建築家だ。

彼は自分の心の安らぎを求め場所を構築するが、それは今の場所を壊すことでもある。彼は自分の過ちに気づき、再建を試みる。主人公の行動はおろかに見えるかもしれないが、人間は弱い生き物だ。彼の弱さも優しさも、愚かだが、その心理描写を追っていきたくなる。
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