シアトル国産映画祭にて。
織物工場での事故隠蔽。家族・未来と正義の間で苦悩する工場オーナーの息子を中心に描いていた。
多分背景には不景気や格差、不法就労や移民問題など社会派的な側面も絡んでいるのだけど、ほぼ事故対応一部始終を描くので単純に「どう決着つくの?」とクライムドラマのような話に見入ってしまった。
大企業が表沙汰になるのを恐れて隠蔽しようとするドラマも他でよく見かけた。この話は町工場での事故。コミュニティは小さくすぐに町中に知られることになるだろう。
だからというわけではないが、工場オーナー側が手を回すのが早い。それよりまず負傷者のケアを…と思う。
その観客側の良心を投影したキャラクターがオーナーの息子じゃないかと思う。
彼は父の言うことを忠実に守りいずれ跡を継ぎ、結婚も控えていて幸せな将来を夢見ていたはず。
きっとこのまま父の言われた通りにしていれば苦労はせずに済んだだろう。
でもさすがに良心は痛むし、人間として正しく生きたい気持ちはある。
その葛藤と下さなければいけない決断がツラい。正しいことをしてもしなくても、どっちを選んでも困難があるなら後悔ない道を選ぶってことだろうなあ。
主人公が信じていたものが音をたてて崩れていくような話でもあった。