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我々の父親のtakanoひねもすのたりのレビュー・感想・評価

我々の父親(2022年製作の映画)
3.4
実録犯罪ドキュメント。

ひとりの女性が行ったDNA検査(家族の中で自分だけが何故金髪・青い目なのだろうとずっと疑問を持っていた)そこで判明したのは、見知らぬ複数の異母兄妹の存在。

有名不妊治療医が、自分の精子を使って数十人の女性に不妊治療/体外受精を行っていた事実だった。

現在は引退しているドナルド・クライン医師。
地元では名士で、当時……30年前、腕の良い不妊治療医として評判高かった。

患者が処置室に入ると、隣の院長室で自慰を行い、ドナーのものではなく、自分のそれを使う……ほかほかの……出したばかりの精子を……うげぇえええええ。
(丼の1を思い出す)

結果、現在判明しただけでも彼女には94人の異母兄妹・姉妹が判明。
(軽く2クラス分が全員兄妹……💧)
彼のクリニックで体外受精をした夫婦と、それで生まれた当人の心境は想像することさえ憚れる。

ドナルド・クライン医師には遺伝的な疾患(自己免疫性疾患)もあり、それは彼の精子で生まれた子供達にも現れていた。
そして彼と同じブロンドと青い目。

で、この事件が特殊なのかと思いきや、後の調査で自分の精子で処置をしていた不妊治療医が44名発覚……というのだから怖い。

知らぬ間に近親恋愛になるかも知れない子供達、それは彼らのせいでは無いのに。

怖いのが『動機』が分からない。
クライン医師は、医療行為だと主張を変えず、性的な目的は無かったと言う。

確かに性行為はしていない、けど、患者の待つ隣室で自慰して出した精子を患者に注入するということに、何かしら意味があるはず。
でもこのドキュメントはそこまでは追えていない。

彼、彼らの心理が分からない。
動機が不明……ってところがとにかく怖い。