シアトル国際映画祭にて。
若手ファッションデザイナーがボスから頼まれ素材とインスピレーションを手に入れるべくメキシコオアハカのサポテコ族のコミュニティを訪れる話。
そこで出会う人々との交流を経て彼女が感じたものは。
冒頭からちょっとショッキングな描写があったがすぐにヨーロッパのファッションデザイナーの現場に移る。
冒頭のアレはなんだったんだ?と思いながら観始めたがラストに繋がっていく。
想像していた話とは少し違う方へ進んでいった。
仕事でいまいち成果を出せない女性がメキシコを訪れてヨーロッパでのファッションの仕事や自身の人生に疑問を持つ話だと思うが、マイノリティに向けられる偏見を乗り越え自分らしく生きる人々の姿も描かれる。
所々ファッション業界を皮肉ってる話なのか?と思わされるような現場の会話がある。世界でウケる・通用するデザインを作り上げるためにはエスニックなものを都合よくかいつまんでいけばいい、素材やアイデアは現地にいくらでもあるから持ってきなさいと。
民族衣裳からインスパイアされたと言えばもっともらしいがパクりにほぼ近い行動。しかし、民族は商標登録してるわけでもないし、やってきた感じの良い女性になにも知らずに教えていく。
良心の呵責に問われ考えを保留すればヨーロッパのボスたちはすぐにアクションを取る。自由気ままに人懐っこく教えてくれる民族とは対照的に何かあればすぐ法的手段をちらつかせ、どちらが良い悪いの話ではないが、都会はいろいろと詰めてきて有無を言えない雰囲気あり。
無機質なヨーロッパと、時折幻想的な描写を混ぜながら生命や魂を感じさせるメキシコが対照的。
その人間の神秘や営みを崩していくのはやはり人間なんだなと思わざるを得ない映画だった。