MasaichiYaguchi

ハンサン ―龍の出現―のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

ハンサン ―龍の出現―(2022年製作の映画)
3.7
豊臣秀吉が朝鮮に侵攻した「文禄・慶長の役」において、日本と朝鮮の両軍の運命を変える分岐点となった「閑山島海戦」を韓国で映画化した歴史大作は、改めて現在進行形のロシアのウクライナ侵攻について考えさせます。
天下統一を果たした豊臣秀吉は次の狙いを明国に定め、その足がかりとして朝鮮半島に出兵する。
秀吉の下で「賤ヶ岳の七本槍」の1人として名を馳せた勇猛果敢な武将・脇坂安治率いる大軍を迎え撃つのは、朝鮮水軍の冷静沈着な将軍イ・スンシンだった。
武将たちは自軍内の政治的駆け引きに翻弄されながらも、決戦の時を迎える。
学生時代の日本史では「文禄・慶長の役」はあっさりと扱われていて、本作を観るまで「閑山島海戦」の存在さえ知らなかった。
大海原を舞台に、日本と朝鮮の軍船が入り乱れての海戦はスリリングでパワフルで血湧き肉躍る。
本作で対峙する脇坂安治とイ・スンシンの戦術は対照的で、鉄の囲いを持つ鉄囲船や、大砲を擁した安宅船等の140隻の大船団で包囲する“魚鱗の陣”を繰り出す脇坂に対し、イ・スンシンは“鶴翼の陣”で迎え撃っていく。
陽と陰、激烈と沈着、功と義、真逆の資質の2人、その違いが戦いの進展と共に明確な差となって表れていく。
この結末を見ても、劇中にある「義と不義の戦いだ」という台詞が心に残ります。