♪ 朝 目が覚めたら オレの顔ない!
となりのネコが 喰わえてった
閉鎖されたコミュニティの胡散臭さ。
それを味わうには最適な作品…だと思いますけど。監督さんと相性が悪いのか、どうしても「なぜ?」の気持ちが先立ってしまい、最後まで旨味を感じませんでした。
例えば、真相を見せる演出。
あえて“ある場面”を描かずに物語は進みますが、それで物語としては成立しているんですよね。というか、見せないことで色々と想像できるので“不穏な感情”が掻き立てられるんです。
でも、それを最後に見せちゃうんですよ…。
思うに、能の『邯鄲』を描くために必要と判断したのでしょうけど、逆に作為が先立つというか、気持ちが画面から離れていくというか。過剰な音楽と合わせて微妙な感じでした。
ただ、役者さんの好演は見事です。
特に横浜流星くんは圧巻(トッキュウ4号時代を知っているだけに、どうしても「くん」呼びになってしまう…身内でも何でもないのに)。
いやぁ。良い役者さんになりましたね。
前半の“死んだ目”は特に良かったと思います。独特の飄々とした雰囲気と相俟って、どこか世俗離れした感じが十分に漂い、村の閉塞感を体現していました。村こわいね。
あと、相変わらずの一ノ瀬ワタルさん。
不機嫌なチンピラを演じさせたら右に出るものはいないと思います。話によると御本人は優しい人柄とのことですが…そのギャップが逆に怖いです。こんな人にターゲットされたら地獄ですな。
あとは古田新太さんも通常運転。
とても“胡散臭い”役柄が似合っています。正直なところ『不適切にもほどがある!』みたいな感じよりも、本作のような不穏な作品のほうが、雰囲気が合うんでしょうね。
あ、でも。
ヒロインの配役については…うーん。モチーフに据えた“アレ”と合わせたのかな…なんて不謹慎な考えが頭から離れませんでした…ごめんなさい。
まあ、そんなわけで。
役者さんの熱演は味わえるものの、全体的に消化不良が否めなかった作品。監督さんとの相性って本当に大切だと思いました。『新聞記者』も『ヤクザと家族』も微妙に合わなかったですからね。残念。