ロアー

ベルベット・ゴールドマインのロアーのレビュー・感想・評価

4.2
もう何度か観てる映画なのに、今回随分久しぶりに観たせいか、なんかもう...どう言っていいか分からないくらい圧倒された。カラフルでギラギラでパワフルな映像、詩的で過激な台詞、パッと咲く花火のような輝きと残滓、虚構の美しさ、男も女もどうでもよくなるような混沌...こんな映画、他にそうそうない。

ジョナサン・リース=マイヤーズ、トニ・コレット、クリスチャン・ベール、そしてユアンと実は錚々たるメンバーなのも本作の魅力。
個性的な役者たちが強烈な登場人物を演じているけど、打ち消しあわずそれぞれが輝いているのもすごい。

ジョナサン演じるブライアンはデヴィッド・ボウイ、ユアン演じるカートはイギー・ポップがモデルになっていて、楽曲提供を拒んだボウイは仕方ないとして、カートの方は劇中で「♫T.V.EYES」など、イギー・ポップの歌をちゃんと歌ってる。
全裸でピョンピョン飛び跳ねながらシャウトしたり、オイルとグリッターまみれで舌を出して挑発したり...ほんと、このすぐ後の作品が「スター・ウォーズ」で、そこで規律正しいジェダイを演じているのと同じ人とは思えない乱れっぷり。
いつものユアンの甘い歌声の方が好きだけど、シャウトで荒ぶってる感じも良きだった。1番好きな曲はスタジオで収録してる時の曲なのに、ブチギレて途中までしか歌ってないのが残念。
ライブシーンは観ていて、あの興奮を実際に体験できないのが悔しくなっちゃった。今作は応援上映や爆音上映で向きだと思うので、権限のある偉い人、誰か!

ジョナサンは「ゴーメンガースト」で初めて観た時からすっごくきれいな顔立ちしてるなと思ってたし、中性的で人形めいた風貌が、繊細で怪しげな魅力のブライアンにぴったりだった。カートに惚れた瞬間、目がハートになるところが好き(比喩じゃなく実際にハートになる)。

アーサーを演じてるクリベも推しの1人なので、ピチピチのTシャツと厚底ブーツを履いたクリベの姿を観れるだけでもお腹いっぱいになれる。現在の姿と10年前の姿で雰囲気が全然違っていて、本気で幼く見えるのも流石だった。「ビギンズ」の若ぼっちゃんの時にも思ったけど、髪型や服装だけで若く見えるだけじゃなく、表情や雰囲気で若さを作り出してるんだろうな。若見えの演技、クリべにぜひ伝授してもらいたい。
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