すずき

ベルベット・ゴールドマインのすずきのレビュー・感想・評価

3.4
グラムロック界のカリスマ、ブライアン・スレイド。
彼は人気絶頂時に殺害事件に見せかけた狂言自殺をして、それが原因で炎上、以降彼はメディアから消えた。
10年後、記者のアーサーはブライアンの消息を記事にするよう、上司から命令を受ける。
アーサーもまた、10年前はブライアンのファンで、グラムロックにどっぷり漬かっていた過去があった。
彼は関係者に話をあたるうちに、自らの過去とも対峙する…

グラムロックファッションのお手本のような映画で、過剰なお洒落が超カッコいい!
PVのシーンも多く、当時のグラムロックの隆盛とお祭り騒ぎを感じる事ができます。

派手な化粧、綺羅びやかな衣装、性別不詳でファンを魅了するグラムロックシンガーという「仮面」。
だがその「仮面」が、やがて自らの顔から取れなくなり、自分自身を見失う事となる。
ブライアンが狂言自殺をしたのも、同時代の歌手ワイルドとフェアリーが「グラムロック」の葬式を挙げたのも、その仮面を取る為だったのか。

この映画はフィクションだけど、マクスウェル・デーモンことブライアン・スレイドのモデルは、誰がどう見てもジギー・スターダストことデヴィッド・ボウイ。
監督はデヴィッド・ボウイの楽曲を使用したかったそうだが、彼に断られたそう。
解説を調べると、自身もLGBTである監督の、ボウイへの愛憎入り混じった複雑な想いが投影されているとか。
だけど、実際のボウイのファンでもなく、彼の辿った変遷をあまり知らない私にとって、そこらへんの気持ちはよく分からなかった、というのが正直な所だ。
商業主義的な作風へと変わったボウイ(ブライアン)への批判、とも取れるオチだけど、自分は逆に、ブライアンは自身の作り出した重い枷から解放されたようで、ネガティブなイメージは抱かなかった。
そういう解釈は間違ってるのかな?