しーかず

ダークグラスのしーかずのレビュー・感想・評価

ダークグラス(2021年製作の映画)
3.5
往年の名作「サスペリア」で知られるダリオ・アルジェント監督作。連続殺人犯に追われて事故によって視力を失った娼婦のディアナと、その玉突き事故で両親を亡くした男の子チンを中心に描かれていくんだけど、とにかくプロットが薄いのと、殺人鬼のインパクトや恐怖感が弱い。娼婦を狙う理由も弱いし、ディアナとチンの絆が芽生えていく過程もいまいち感情移入しづらく疑問が残る。そもそもディアナは冒頭でメイドに「バチがあった」と呟かれるなど人間性に問題がある雰囲気や横暴な感じを出してたのに、かなり早い段階で気づけばただの子供思いな主人公になっていて、キャラクターに一貫性がない。全体的に殺人シーンもかなり生温く、無抵抗で車に轢かれるだけなど大昔の映画を観ているようなツッコミどころ満載のアクションだった。盲導犬が殺人鬼を殺す展開もスラッシャー系映画の見どころを粉砕している気がする。森でウミヘビに襲われるシーンも必要ない。ただ、音楽とか演出は70〜80年代のホラーのようで雰囲気はあって、現代の綺麗な映像の中でレトロな世界観という不思議な魅力は感じた。かつて多くのホラー名作を監督・脚本・製作したアルジェントは良くも悪くも現代映画の緻密めなプロットに寄せる気はないのかなと思う。世界観はわりと好きなので、ある程度は楽しめた。
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