むっしゅたいやき

蜂蜜のむっしゅたいやきのレビュー・感想・評価

蜂蜜(2010年製作の映画)
4.0
迂闊な事に、観る順番を間違えました。
カプランオール監督による『ユスフ三部作』の三作目ですが…、最初に観てしまいました。

某『ミツバチの―』のアナ・トレント、そして本作『蜂蜜』のボラ・アルタシュ。
鑑賞後数日を経た今でも忘れられない、真っ直ぐな眼差しをした少年が、ある事件を契機にちょっぴり成長する物語です。

先述した通り、私はミスして三部作の最初に観てしまいましたが、一作目『卵』、二作目『ミルク』を観る事で何故主人公が急に気絶するのか、また主人公が幼少期、母はどの様な人柄で、彼がどの様な少年時代を送って来たのか等を興味を持って見られます。
吃音症や無口さの中で、彼の内面では様々な言葉と感情が反復され、後に詩人となる素地が醸成されていったのでしょう。

本作で彼が成長する契機は、大変深刻なものでは有りますが、抑えられていた感情を現し、ミルクを飲み込んでみせた彼の決意に満ちた表情には、父の『誰が家を守るんだ』の言葉をしっかり守って行こうとする覚悟が見えた様に思います。

小さな少年の健気さといじけ無さにほろりとさせられる作品でした。
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