囚人13号

東京の宿の囚人13号のレビュー・感想・評価

東京の宿(1935年製作の映画)
4.0
喜八もの最終作。『チャンプ』やチャップリンを断片的に想起させるものがあるが、とにかくサイレント時代の小津は多感。
食い詰めた親子の描写や犯罪といった要素は戦後作品には登場しないし、何度も働き口を断られる様子と、飯代で帽子を買ってしまう過程の省略は山中貞雄やルビッチ風。

犯罪場面の省略は特に忘れ難く、ネオンサインに照らされては消える映画ポスターのタイトルが『喰ふか喰はれるか』という暗喩的なもの。

しかし母の愛を羨ましく思う突貫小僧の台詞には思わずハッとさせられるし、サイレント故に成り立つ親子の想像宴会は泣ける。
囚人13号

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