<概説>
シェイクスピアの代表作『ロミオとジュリエット』が現代ミュージカルとしてリメイクされる。非行少年集団の対立によって引き裂かれる男女の、わずか二夜の恋物語。
<感想>
てっきり'90年代の作品だと思ってたのですけれど、'61年の作品なんですね。作品概要を見てまた衝撃。
ただ年代的に納得する部分もありました。特に作品の下地になる移民排斥運動なんて、支持されるには結構時節を選びます。
白人アメリカン至上主義的な価値観から悲劇が展開される。この物語はある意味現代的ではあるものの、それが主眼とならずにナチュラルに差別的というのが'60年代だなあと。
ただこれは別に悪いことではなくて、元の戯曲の陰惨で悲劇的な雰囲気を醸し出すのにはうってつけだと思います。今で言う『ラ・ラ・ランド』的ラブロマンスをわずかでも期待させないあたりが特にいい、個人の感想として。
人間がどこまでも愚かしく暴力的で、その愚鈍さゆえに悲劇に行きついてしまうというペシミズム。
シェイクスピアらしいなんてわかったようなことを言うのは憚られますが、私が期待するシェイクスピア関連作品としては満点でした。
欲を言ってしまうともう10年時代が遅ければもっと陰惨だったかもしれませんね。ニューアメリカンシネマの系譜に連なるリメイクも見てみたい。