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ファンタスティック・プラネットのkarmapoliceのレビュー・感想・評価

3.8
La Planète sauvage:Fantastic Planet:ルネ・ラルー監督、脚本、ローラン・トポール、スティーヴ・ヘイズ脚本、1973年フランス。チェコスロバキア作品。原作はステファン・ウルのSF小説「オム族がいっぱい」。

凄いシュールなイラスト・アニメの世界観。原題は「未開の惑星」を意味しているらしい。イラストはかなり好きなタイプ。そのイラスト世界は広義ではダリの影響も感じるが、プログレッシブ・ロックバンドのイエスのジャケット・アートで有名なロジャー・ディーンのイラストの世界観に、かなり通ずるものがると感じた。シュールな生物や植物のデザインはけっこう強烈。宮崎駿監督の「風の谷のナウシカ」に影響を与えたと言われるのも納得。SFのストーリーとしては壮大でメッセージ性も強く70年代のSFらしさを強く感じる。オム族もドラーグ族もどちらも結局は人間を表しているのかも知れない。

終盤のドラーグ族の秘密が明かされる行は、ちょっとフランス的なのかなと思わされた(笑)そこはイマイチ好きになれず(苦笑)弾けた映像の中、社会風刺や哲学的なメッセージを意外とセリフで説明しているのは惜しい気がした。BGMは完全に70年代のアバンギャルド・ジャズで日本の大野雄二さんのルパンのBGMに、通ずるものがあるかも知れない。イラストデザイン以外は意外と普通でもあるだろうか。

それにしてもシュールなアニメ映像は観応えがあり、観て良かったと思う。
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