ボサノヴァ

ファンタスティック・プラネットのボサノヴァのレビュー・感想・評価

4.0
45年も前の作品だが、今でも全く色褪せないアートアニメーションの傑作。諸星大二郎や楳図かずおの世界を通過してきた私にとってはまさに経典で、触手あり巨大生物ありの、整理されたグロテスクを味わえる。
シュールながらギリギリ何とか判別可能なストーリーと、適度な上映時間が丁度いい。それでいて見終わった後に残るものがあり、きっと誰もが「最後まで見てやったぜ感」を味わえる、優良なカルト映画と言えるだろう。

「もしも人間が害虫や家畜に貶められたら」という立場逆転の設定は、今この時代だからこそ既視感のあるテーマだが、捕食者側から見た視点の作品は実は珍しいと思う。ここで描かれるドラーグ族の生態は確かに奇異だけど、動物達からみた我々人間の営みも同じくヘンテコに見えているのではないか?というメタな想像もできて楽しい。ドラーグ族の色合いも、慣れてくると、うっかりペネロペみたいな色味で愛着が湧いてくる。(そんな事はないか)

フランスギャルのファンにはお馴染み、アランゴラゲールのスコアも似非プログレでグルービィで最高。PV感覚で観るもよし。

そして、この映画は結末がキモ。20年ぶりくらいに再見しても、そのバランス感覚ある着地点にあらためて感動できた。フランス映画だなあ。漂流教室や影の街にトラウマを持つ人は、是非手にとってもらいたい一作です。普通にツタヤにあるよ。
ボサノヴァ

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