旅するランナー

1640日の家族の旅するランナーのレビュー・感想・評価

1640日の家族(2021年製作の映画)
4.2
【ママと呼ばないで】

6歳の里子シモンくんと育てのママとの切ない別れ。
生後18か月から1640日(4年6か月)育てて、すっかり家族の一員になってるんで、そりゃー別れは辛い。
戻る家庭はお父さん一人だけだけど、こっちにはお兄ちゃん二人もいるんで、そりゃー楽しい。
山田孝之が子育てお父さんを演じた「ステップ」の逆バージョンと言えなくもないです。

このシー坊がとってもイイ子なんで、戻らなきゃいけないとは分かりつつも、やっぱり残りたいって気持ちも大きくて、葛藤しちゃいます。
「一緒にスキーに行きたい」
「お兄ちゃんの誕生日パーティーに出たい」
「どうしてママと呼んじゃダメなの?」
シー坊の純粋無垢な気持ちに応えてあげたい。

ちょっとした紆余曲折はありながらも、悲しい別れに向かってあくまで淡々と進んでいきます。
普通なら感情移入しにくいところなんですけど、このシー坊演じる男の子の愛おしさが半端ないんです。
怖い夢を見て、ママに切々と話すところなどは、神(あるいは天使)演技です。
完全にシー坊にやられて、ママの気持ちになります。
男であっても母性愛に目覚めちゃいます。
子どもたちが悲しむ姿にもらい泣きする秀作なんです。