てっちゃん

愛してる!のてっちゃんのレビュー・感想・評価

愛してる!(2022年製作の映画)
3.8
私が愛してやまない日活ポルノ。
そんな日活ポルノが現代の要素を盛り込んだ作品を製作したというこで、なんて粋なんだ!と大興奮して、いつものミニシアターへ向かったわけです。

ロマンポルノがスタートして50年経過し、数々の名作、迷作を生み出してきて私の映画人生に多大なる影響を与えてくれているロマンポルノ。
50周年を記念して「ロマンポルノ・ナウ」と称して、3人の監督により3作品が製作されたのです。
残念ながら3作品中1作品は観ることができなかったのが心残りでした。

さて、イキますよ!(書きたいだけ)

これは期待できる客層!
おじさん率9割!良い面子が揃ってます!
みんな良い顔つきしてますね!
そんな圧倒的なホーム状況でにこにこ上映開始です。

主人公は元プロレスラーでいて、現役地下アイドル。
ひょんなことからSMクラブで働くようになり、秘めていた性癖や才能が開花される、、という物語。

非常にテーマは分かりやすく、みんな変態なんだ!もっと堂々としようよ!というもの。
こじつけみたいな感じで、SM要素から支配される側、する側と思ったり。
そこから発展して縛られる側、縛る側へと転じていくのかとも思ったり。

HENTAIは世界に通用すると思っており、その変態性は古から受け継がれた素晴らしいものであり、恥じるものでは決してないと思い、今の変に抑圧というか”変態=犯罪”みたいな一括りにした非常に安易な考え方はどうなのよと思っていたところに、本作を観たので非常に清々しいものがあったわけです。

本作を観ていて思うことは、底抜けに明るいポジティブ主人公に元気をもらえるし、変態をきちんと楽しんでおり、周囲の人たちも同様に変態を楽しんでいるところが印象的。

つまりは変態を”文化”として捉え、その文化をリスペクトし、それを好きな人もいれば当然に嫌う人もいるという正しい姿で描かれている。
ここに好感を持った次第なのです。

主人公ミサとカノン様の2人はSMプレイを通して、お互いのことを知っていく。
この2人の純愛がものすごくきれいで切なくて毒々しい。

ミサがカノン様のプレイにより、苦痛になったときに止める合言葉がある。
それは「愛してる!」。

苦痛になったとき=耐えられなくなったときに言う言葉であり、ミサが言いたくても言えない言葉である。
この一言と行動の一連性も単純に良いなと思うし、その言葉を言うときは、、、良いよね。

もちろんR-18なので、聖水プレイもあるし、拘束プレイもあるし、放置プレイもあれば、羞恥プレイもあるし、この人も脱ぐんだ!ってくらいにいろんな人が脱ぎまくる。

エンディングなんて、ぱっと見はどんな状況?って感じなんだけど、本作を鑑賞した人には分かるが、これがきれいなんです。

”変態=犯罪”みたいなニュアンスは一切ない。
そこには文化がある。
ほんの少しだけしか見ようとしないで語るな。全体を見ろ!と言いたい。

これ書いてるときもミサのアイドルソングが耳を離れないくらいに良い曲だったな。
あと髙嶋政宏さんも良い変態感出てた。

劇場内のおじさんたちもご満悦だったであろう作品でした。
てっちゃん

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