コーヘイ

窓辺にてのコーヘイのレビュー・感想・評価

窓辺にて(2022年製作の映画)
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「痴情のもつれ」という言葉が似合う今泉力哉監督作品。
今作でも、個性豊かな人物がおりなす人間ドラマの会話劇に、人間の真意への探求を迫った映画でした。
実感とフィクションの乖離。
たとえば、このレビューに書く文章は、わたしが映画を観て感じたことをそのままうまく言語化できていて、文章を通して読み手はわたしが感じたことをそのまま受け取ることができるのか。まったくそうはならない。
劇中、市川の「語ってしまうと、それは嘘になるから」というような台詞があります。実感は、その純度を保ったまま他者に伝えることができないということ、この悲しさがあるということ。
恋愛という”フィクション”もたえだえに、この真実を包み隠すことなく、それでも恋愛をしようとする登場人物たち。実感とフィクションをできる限り近づけようとする彼らの努力は、人を愛する、人を信じるうえでは欠かせないものだと思いました。
人間の醜態を晒しつつも、寛容な人間の美しさを描いた映画でした。

ブログに記事をしたためています。よしなに
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