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ウォー・ストーリー ビンラディンに接触した男たちのpluviaのレビュー・感想・評価

4.9
実話をもとにした映画。(すごく良作だと思います)
ジャーナリストのピーター•アーネットが、ビンラディンにインタビューする一連の流れが描かれています。

ピーター•アーネットは、1962年〜1965年までのベトナムでの仕事が評価されてピューリッツァー国際報道賞を受賞し、その後1991 年の湾岸戦争の中継で有名になった人物です。
妻がベトナム人、娘もジャーナリスト、子供が二人、離婚していることなども事実と同じに描かれています。
(英語版Wikipediaに詳しく掲載されています)
映画では1997年の出来事。

実話なので結末を知っているから心臓がもつけれど…緊迫した怖さに震えながら観ました。

アーネットが娘に電話をかけるとき、もしもの際に悲しむ人の存在を想うたびに死の影を強く感じて目を潤ませている。
帰れる確証はなくビザも下りないところへ入っていく、その恐ろしい静けさと自然音がヒリヒリとした緊張感に拍車をかける。
あの人に会ったとき、イスラム式のもてなしをしてくれて一つ一つのやり取りが目を見張る。礼節が整っているけれど、何か一つで事態が急変してしまわないかという緊張は流れ続けている。

逆に輝いて見えるのは、街中のアラビアンな服が掛かった露店や、路上の壁の絵、鳥の鳴き声。山岳地帯を車で走るときに映り込む、道路脇の小さな雑草の白い花、乾燥地帯の草木の色合いまでもが目に焼き付いてくる。

それはもう、死ににいく感覚に近いような命運を委ねるしかない心境ゆえに、目に飛び込んでくる美しさを捉えようとする鋭利になった五感が語りかけてくるのかもしれない…。



『映像の世紀』(バタフライエフェクト 9.11同時多発テロへの点と線) で、このときの実際のインタビュー映像も登場します。

こんなに良い映画だと思うのにナゼ? ニュージーランド映画だから宣伝とか配給が弱いとか? 分からない…。

でも、倍速で見る方には向かない映画かと思います。
通常速度のリズムと「間」が大事な作品ですので。
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