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ジョージ・マイケル:フリーダム アンカット完全版のkyotaのレビュー・感想・評価

4.7
TOHOシネマズ新宿にて、たった一日限りの上映。丁度休みの日で良かった!

ファンにとって、ここが知りたいという部分がしっかり押さえられた素晴らしいドキュメンタリーでした。以下、特筆すべきポイント。

・ジョージの音楽の革新性が、多くの有名ミュージシャン、関係者の言葉とともに解説されている。

・白人アーティストとして、ブラック・ミュージックのマーケットに切り込み、音楽的にクロスオーバーしたシンガー・ソングライターの先駆者となったことの意義と弊害。

・イギリス、アメリカ夫々の音楽マーケットでの評価とセールスの違いに、どうジョージと関係者が向き合ったか

・Wham!時代からの音楽性と歌詞の変遷。それに自分の音楽的バックグラウンドと、身の回りの人間がどう影響を与えていたかが分かる。

・自身のセクシャリティと、その公表。恋人の存在が人生と音楽にどれだけ大きな影響を与えたか。

・キャリアでターニングポイントとなったライブ・パフォーマンス、プロモーション・ビデオや事件について、一般的に知られている情報に加えた掘り下げがなされている(マニアックな部分、トリビア)

・ジョージがおかした過ちについて、自身が誠実にむきあい隠すことなく伝えられている

・ジョージの生み出した名曲の数々が聴ける!

アルバム「Faith」で、ジョージが思い描いた世界的スターに上り詰めた1980年代。本当の自分と、ファンとレーベルが求める"ジョージ・マイケル"のパブリック・イメージ、音楽性との乖離に苛まれた1980年代末以降。苦悩さえも歌詞に封じ込めて、音楽の普遍性と革新性を同時に手にした1990年代。様々なスキャンダルと、苦労を重ねて本来の繊細で優しく、ユーモアもある自信を公に出すことができるようになるまでと、ジョージのキャリアの変遷がしっかりまとめられていました。

私的に、最も良く聴いた忘れがたき傑作「LISTEN WITHOUT PREJUDICE VOL. 1」期のことが詳しく語られているのと、ロック史に残る名演といえるフレディー・マーキュリー・トリビュートでのエピソードに特に感動させられました。ほぼ満点…といいたいところなのですが、敢えていうとやはりWham!時代の相棒アンドリュー・リッジリーの言葉もやはり聞きたかったな…。
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