珠夏

ザ・メニューの珠夏のレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
3.9
現代版注文の多い料理店。
・提供する側もされる側も対等である。(どのサービスにおいても)
・初心忘るべからず。
この2つを強く感じた。
料理を提供する側がマナーやルールを設けてがんじがらめにしているお店を批判しているようにも、お客様は神様だ!と偉そうにしている(特に金持ち)人を嘲笑っているようにも思える作品だった。

マーゴだけ助かったのはシェフに初心を思い出させたからなのかなぁ。最初は誰かのために料理を作ることを大切にしてチーズバーガーを作っていたのに今は味音痴の金だけある特権階級の限られた人たちのステータスのためだけに料理を作っているから嫌気がさしていたんだろうなと。あとは、マーゴも風俗嬢?的な仕事をしていて奉仕する(サービスを提供する)側の人間だからこそ偽名を使っていたし、自慰行為を見ることを要求してくる客(タイラー)や親子プレイを要求してくる客(娘を失った何度も店を訪れる味音痴金持ち年配夫婦の夫)とかに振り回されて、「昔は奉仕する事が楽しかった」と言っていたからシェフと通じるものがあって仲間にいれてもらえたのかな。
タイラーに関しては「あ~いるよね~こういう自分は作れない(できない)くせに分かったつもりで偉そうにしてる批評家~」って感じ。作る側の人間の苦労も知らないでグチグチ言うくせに信仰してる人に対しては盲目的で従順なのがほんとに腹立つから批判してくれていて気持ちよかった。
昔のスターのアシスタントの女の子は単に学生ローンを組んでなかったから殺された訳じゃなくて、お金を横領したにもかかわらずその理由が学生ローンなどの貧困ではなくて自分の私利私欲のためだったからなのかな?もし学生ローンを払うために仕方なく盗んで…だったら助かっていたのかも。
エリスは自分がシェフの1番の理解者だと思ってたのにぽっと出のマーゴを仲間にされて、しかも自分が樽を忘れたことにされたから裏切られた!侮辱された!あの女は私の代わりに彼の理解者になるつもりなんだ!そんなことさせない!って嫉妬心から行動したのかなぁ。
タイラーが死ぬ前にシェフがなんて言葉をかけたのかとかみんななんでもうちょい本気で抵抗しないの?逃げたら?とか思わないでもないけど、まぁシェフがヴォルデモートだからなぁ。

こうやって映画を見てコメントすること自体が1番の皮肉なんだろうな。
珠夏

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