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ザ・メニューのなごhobbyのレビュー・感想・評価

ザ・メニュー(2022年製作の映画)
3.6
 劇場公開された時から気になっていて、ようやく時間がとれたので見ることができました!

 太平洋岸の孤島を訪れたマーゴとタイラー。二人の目当ては、超有名シェフのスローヴィクが料理長を務める、予約のとれない孤島のレストランで振舞われる極上のメニューの数々だった。しかし、マーゴが感じたふとした違和感をきっかけに、レストランは徐々に不穏な雰囲気になっていき…

 物語は「与える者」と「奪う者」という二つの立場を強調して展開していく。
 このレストランに招かれた客は様々な事情を抱えており、食事という行為を生きるためにするのではなく、自分のステータスのために行なっている。そのため、スローヴェクたちが求めている料理に対しての評価である「美味しい」「美味い」といった言葉が彼らから得られない。この構図を料理を「与える者」そして、料理の価値を「奪う者」として描いている。
 この意味が物語中盤までなかなか伝わってこないので難しい作品となっているなと感じた。
 そこにマーゴというイレギュラーな存在が現れる。彼女は娼婦であるために本当の名であるエリンを名乗ることができない。つまり彼女も「与える者」側で「奪う者」の被害者なのである。そして彼女は最後に純粋に食を楽しむものとして料理を注文し、スローヴェクはその評価を受け取り満足気に彼女を逃すのである。
 ラストシーンのメニューを記した紙で口を拭くのも彼女自身が食べることにしか関心がないという皮肉が存分に聞いていてとても良かった!

 料理を題材にしているが、この評価する者とされる者は日時茶飯事で起きていることで自分も改めてその価値を「奪う者」になっていないか再確認しないとなと思えた映画だった。

 
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