【登り方まちがえると山頂には着かない】
久しぶりのインド映画単体公開ということもあり、劇場へ。
象さんはこういう形で見直すと、意外と見応えがありました。思ったより美しく面白い。一方それを包む、森の情景も空撮含め、心が洗われるショット、幾つもありました。
が全体、痛快エンタメでなく鬱アクションでした。誰にでもオススメ、とは言えません。
自然との共生について、日本に住んでいても他人事ではないテーマ。意義あると思うし、最終的には、落ち着くべきところにとりあえず、至るのですが、そこまでがカオス。
この物語、苦労し積み上げ、失敗しても、やがて報われる…という王道から外れ進んでゆく。善事も悪事も、計画し準備し実行するが、うまく行かない…この繰り返し。アッチへ転びコッチへ転び、なるようにしかならない。リアルといえばリアル。その意味では珍しい。
でも、付き合うには疲れる。寝不足もあり何度かオチた。勿体ないが飽きるから仕方ない。
暴力で解決しようにもできない、と言いたいのかも?が、戦争やって勝った側が、物事を巧く運用してきた歴史の一面も、事実としてあるわけで。それを破る言い分を出してほしい。
ナクサライトという抵抗者たちが、普通に森の中に潜んで撃ってくる…という日常がインドらしい。が一方、某所にはケタ違いの暴力野郎が潜んでいて…というのがインド映画らしさ。まさか、象さん映画でここまで、死体が転がることになろうとは。…唖然とします。
その行き過ぎ感もふくめ、演出にはしばしば、マンガかよ!と唖然としますが、監督がタミルなひとだから!との答えが待っているから、仕方ない(笑)。
主演ラーナーさんは、見応えあるも怪演でした。あの首カク・アクションは必要だったのか?が、周囲から讃えられる様子がリアルで、心惹かれる点でした。あの役はジャーダヴ・パーインという実在する人物がモデルらしく、納得です。
あと個人的には、もうひと声、象さん美に対応する美人が、居てほしかったゾウ。
万人にはオススメできぬ仕上がりでしたが、珍品なので、珍味を求める方にはいいのかも。
<2022.7.31記>