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THE WITCH/魔女 —増殖—のnetfilmsのレビュー・感想・評価

THE WITCH/魔女 —増殖—(2022年製作の映画)
3.6
 2018年の作品なので、何というか先週のピカデリーでの限定上映を観直して本当に良かった。とりあえず前作最高の立役者であるジャユン(キム・ダミ)は出て来ません。いや一応は出て来るんだけど本線からは一歩外れた登場に留まる。遺伝子操作によって超人的なアサシンを養成する〈魔女プロジェクト〉は要は仮面ライダーの改造人間にも近いというか、そう言えば今年の韓国映画『オオカミ狩り』でも途中、人体実験の結果、恐るべき力を持ったプレデター的な怪人が現れて猛威を振るったのだがこちらはいかにも非力そうな少女が1人現れる。前作でもジャユンの暴れっぷりを観ているので大方想像はつくものの、今作の少女(シン・シア)も明らかにジャユンを参考にした純粋無垢な演技を披露する。巻き込まれ型の典型という感じで、しかもジャユンのようなあざとい意趣返しもなく、最期まで純粋無垢な低体温な演技が垣間見れる。何と言うか風吹ジュンにしか見えない創造主ドクター・ペクだかその姉妹(チョ・ミンス)が姉だろうが妹だろうがこちらとしてはどうでも良く、今回のユニバース化にあたり、〈魔女プロジェクト〉側がどういう面子になるのか興味をそそられていたのだが、殆ど全貌がわからずじまいだった。というかこのように1人ずつ小出しにする流れなら、キム・ダミもシン・シアもあっという間に大人になりそうな予感はする。製作側にはもうちっとスピードを上げて欲しい。

 まぁ正直言って前作でわかっている程度のことはもっと端折っても良いと思うのだが、パク・フンジョンの演出は色々と勿体付けてなかなか細部に踏み込まない。あるある早く言いたいと言いながらなかなか言わないRGと一緒。今作も「早よ言えや」と言われてるにもかかわらず、いきなりユニオン派と超人間主義派の説明に始まり、本社の工作員だとかアークだとか、はたまた地元のヤクザと少女の里親であるギョンヒ(パク・ウンビン)との出会いの場面も何だか無駄に長く、とっととアクションやってくれねえかと思う。この辺りは『マトリックス』や『ジョン・ウィック』シリーズのようなアメリカ映画の方が遥かにわかってる気はする。スーパーマーケットの試食コーナーの場面が前作での列車内での卵の場面に繋がるのはわかるんすよ。〈魔女プロジェクト〉メンバーはみんな食いしん坊なのはわかるんだけど、正直前作よりも心に来るエピソードが少なかった。というか前作のジャユンの親友のエピソードが無駄に良過ぎて、今作のギョンヒもデギル(ソン・ユビン)もだいぶ霞んでしまったのはご愛嬌。前作の特大ヒットなのにワーナー・ブラザーズ撤退の流れから、それでも我々には潤沢な資金があるということもわかるんだけど、それならもっと前半部分に出し惜しみなく物量を投下して欲しかった。今回一番パワーアップしたのがアクションのスピードで、もはや何をしているのかさっぱりわからないほどの剛速球で畳み掛けるのだが、やはりこの内容で138分は流石に長く、能力があり、逆説的にこのユニバースに思いれていない監督なら100分に纏められると思う。
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