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丹下左膳餘話 百萬兩の壺のleylaのレビュー・感想・評価

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)
4.7
山中貞雄監督による時代劇コメディの大傑作。

古ぼけた壺だと思っていたら、実は百万両の値打ちが!壺をめぐる争奪戦と丹下左膳と孤児とのエピソードがうまく重なっていく。

すごく面白い!高スコアも頷けます。90年近く前とは思えないほどのテンポ感で、現代にも通じる面白さ。単純明快なストーリーでもこんなに面白くなるんだってお手本みたいな作品。実に気持ちいい。何度も笑いました。落語みたいな展開とキャラが楽しかった。

大河内傳次郎が演じる丹下左膳がとても魅力的で、左膳と女将とのやりとりが夫婦漫才のようで微笑ましい。ジャンプカットで繰り返されるユーモアもたまりません。

どのキャラもいいんです!特にクズ屋さんにクギづけでした。女将の方は、かつて芸者や歌手もしていた方で、唄も着物の着方も玄人でした。

丹下左膳という名前は聞いたことがあったけど初鑑賞でした。調べると、昭和2年から連載された新聞小説で、大人気を博した時代劇。映画化も山ほどされてるんですね。

今作の主演、大河内傳次郎だけでも16本。知っているところでは仲代達矢や緒形拳、藤田まこと、トヨエツ版も。

今作は作家の林不忘(はやし ふぼう)が自分の丹下左膳とは別物だと抗議し、クレジットもされてないとのこと。ですが、大河内傳次郎の左膳はコミカルで人間味があって大ファンになりました。
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