このレビューはネタバレを含みます
壺探しという本来の目的に介入してくる人情噺に後半は乗っ取られていく。
孤児との日々に歓びを見出しつつあったが借金に困窮する矢場の居候剣士と、浮気と泥棒容疑によって信頼を失いつつある道場主が再びめぐり逢うとき、全ては丸く収ってしまう究極のご都合主義。
天邪鬼フラグをカットで回収する映画落語、ちなみに源三郎が毎日だらしなく矢場に通う姿は若き日の稲垣浩がモデルなのだとか。
部分的に見つかっている終盤の短い立ち回りシーンの20秒間には縦構図で華麗に相手を叩き切る男の姿が焼き付いており、紛れもなく『河内山宗俊』を想起させるものがある。
元ネタのアメリカ映画『歓呼の涯』が観てぇ。や、それよりも一本でもいいから山中貞雄を発掘してくれー!